(一)牛部分肉取引規格

(1)部分肉の分割及びその名称

この規格に定める牛部分肉は、半丸枝肉を別表1に定める分割・整形方法により分割、整形するものとし、その各部分肉の名称は「ネック」、「かた」、 「かたロース」、「かたばら」、「ヒレ」、「リブロース」、「サーロイン」、「ともばら」、「うちもも」、「しんたま」、「らんいち」、「そともも」、「すね」の13とする。

(2)肉質等級及び重量区分

①肉質等級
部分肉の「肉質等級」は、当該部分肉が枝肉段階で別表2の牛枝肉取引規格により格付された「肉質等級」をそのまま適用するものとし、その等級の呼称は「5」、「4」、「3」、「2」及び「1」とする。
②重量区分
部分肉の「重量区分」は、別表3に定める「重量区分」とし、その区分の呼称は「S」、「M」及び「L」とする。

(二)牛部分肉取引規格の適用条件

  • (1)この規格は、(一)の(1)の13の部分肉を対象とするものとする。
    ただし、1部分肉に分割しないもの(「ネック」と「かたロース」を分割しないもの等)、又は、1部分肉を細分したもの(「ともばら」を細分したもの等)であっても差し支えないものとする。
  • (2)この規格は、冷蔵部分肉及び冷凍部分肉について適用するものとする。
  • (3)「ネック」、「ともばら」、「すね」及び1部分肉に分割しないもの、又は、1部分肉を細分したものについては、その「重量区分」を定めないものとする。
  • (4)部分肉を収納した容器には、次の各項を表示するものとする。
    ただし、「ネック」及び「すね」については、②の「肉質等級」を表示しなくても差し支えないものとする。
    また、③の「重量区分」については、当分の間、表示しなくても差し支えないものとする。
    • ①部分肉の名称
    • ②肉質等級
    • ③重量区分
    • ④品種・性別
    • ⑤脂肪の厚さ
    • ⑥収納本(箇)数及び内容重量
    • ⑦製造年月日
    • ⑧製造者及び製造工場名
    • ⑨部分肉格付認定工場番号
    • ⑩保存温度

別表1 分割・整形方法

(1)大分割 (2)小分割 (3)整形
区分 方法 区分 方法 区分 方法
まえ 第6~第7肋骨間において切断して「まえ」を分離する。 かた
すね(まえずね)
「まえ」から前肢を、その付着部において引き離すようにして、肩甲骨(肩甲軟骨を含む)に付属する筋肉とともに胸部から分離し、肩甲骨、上腕骨、前腕骨、手根骨を除骨したのち、烏口腕筋と上腕筋(まくら)の間で切断して、「かた」と「まえずね」に分離する。 かた 関節軟骨、靭帯及び汚染部を除去し、脂肪の厚さを10mm以内に除去して整形する。
すね 靭帯、腱及び汚染部を除去して整形する。
かたばら
かたロース
ネック
「まえ」から前肢を分離したものについて、頚椎、胸椎、肋骨、肋軟骨及び胸骨を除骨したのち、第6肋骨のつけね(第6肋骨と第6胸椎の付着跡部)から肋骨(肋軟骨を含まない)の長さのほぼ3分の1に相当するところで、背線にほぼ平行に切断して、「かたばら」を分離し、次いで第6~第7頚椎跡間で背線にほぼ直角に切断して、「ネック」と「かたロース」に分離する。 かたばら 肋間筋に残る壁側胸膜(うすかわ)及び浅頚リンパ節を含む周辺脂肪を除去し、深胸筋と胸骨間にある硬い脂肪は肋間筋と水平になるように除去し、その他の脂肪の厚さを10mm以内に除去して整形する。
かたロース 肋間筋に残る壁側胸膜及び浅頚リンパ節を含む周辺脂肪を除去し、脂肪の厚さを10mm以内に除去して整形する。
ネック 血液等による汚染部及び頚椎跡に残るリンパ節を除去して整形する。
ともばら 後肢外側の大腿筋膜張筋(とも三角)の前縁に沿って、寛結節(腸骨の前端)まで切り進み、その寛結節のほぼ中央から背線とほぼ平行に切断して、「ともばら」を分離する。 ともばら 胸骨(剣状軟骨を含む)及び肋骨(肋軟骨を含む)を除骨する。 ともばら 腹膜をはずし、白線部は10mmの幅で除去する。乳房脂肪(ちちかぶ)又は陰嚢脂肪(きんあぶら)については、腹皮筋(かっぱ)の下層10mm以内、外腹斜筋の腱膜の上層10mm以内、合わせて20mm以内に除去して整形する。
ロイン
(ヒレを含む)
及びもも
腎臓脂肪を除去したのち、恥骨の前下方において、「ヒレ」を後端から最後腰椎の部分まで切り離し、次いで仙椎と最後腰椎との結合部において背線とほぼ直角に切断して、「ロイン」と「もも」に分離する。 ヒレ
リブロース
サーロイン
「ロイン」から「ヒレ」を分離し、胸椎、腰椎及び肋骨を除骨(肩甲軟骨を含む)したのち、第10~第11胸椎跡間で、背線にほぼ直角に切断して、「リブロース」と「サーロイン」に分離する。 ヒレ 「ヒレ」の後端の脂肪の最も厚いところで10mm以内とし、「ヒレ」の後端部(2/3の部分)において前端にいくにしたがって徐々に薄くなるように除去して整形する。この場合、「ヒレ」の後端から1/3程度にあるリンパ節は一部残っても差し支えない。
リブロース 肋間筋に残る壁側胸膜を除去し、脂肪の厚さを10mm以内に除去して整形する。
サーロイン 「リブロース」の項と同じ。
うちもも 「もも」から大腿二頭筋、半腱様筋(しきんぼう)及び大腿四頭筋等と半膜様筋、内転筋、大腿薄筋等との筋膜に沿って「うちもも」を分離する。 うちもも 内転筋及び周辺の筋肉露出面の変色しているところを薄く削り取り、次いで脂肪の厚さ10mm以内に除去し、併せて浅鼠径リンパ節を除去して整形する。 
しんたま
らんいち
そともも
すね
(ともずね)
寛骨、大腿骨、膝蓋骨、下腿骨、足根骨、仙椎、第1尾椎を除骨したのち、大腿二頭筋と大腿四頭筋との筋膜に沿って「しんたま」を分離し、次いで大転子跡と半腱様筋の前端を結ぶ線で切断して、「らんいち」を分離する。さらに、大腿二頭筋と腓腹筋との筋膜に沿って「そともも」と「ともずね」に分離する。ただし腓腹筋及び浅趾屈筋(はばき)は「そともも」につけたものであっても差し支えない。 しんたま 脂肪の厚さを10mm以内に除去し、併せて腸骨下リンパ節を除去して整形する。
らんいち 寛骨内面の内閉鎖筋、腸骨筋等(小肉)及び骨盤脂肪の一部(めがねあぶら)及び寛骨の骨膜残部を取り除き、仙椎及び尾椎の外側に位置する脂肪を除去し、その他の脂肪の厚さを10mm以内になるように除去して整形する。
そともも 膝窩リンパ節を含む周辺脂肪及びその他の脂肪の厚さを10mm以内になるように除去して整形する。
すね 浅趾屈筋腱等(すじ)及び汚染部を除去して整形する。

別表2 牛枝肉取引規格(肉質等級)

項目
等級
脂肪交雑 肉の色沢 肉の締まり及びきめ 脂肪の色沢と質
5 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がかなり多いもの 肉色及び光沢がかなり良いもの 締まりはかなり良く、きめがかなり細かいもの 脂肪の色、光沢及び質がかなり良いもの
4 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がやや多いもの 肉色及び光沢がやや良いもの 締まりはやや良く、きめがやや細かいもの 脂肪の色、光沢及び質がやや良いもの
3 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑が標準のもの 肉色及び光沢が標準のもの 締まり及びきめが標準のもの 脂肪の色、光沢及び質が標準のもの
2 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がやや少ないもの 肉色及び光沢が標準に準ずるもの 締まり及びきめが標準に準ずるもの 脂肪の色、光沢及び質が標準に準ずるもの
1 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がほとんどないもの 肉色及び光沢が劣るもの 締まりが劣り又はきめが粗いもの 脂肪の色、光沢及び質が劣るもの

別表3 重量区分

区分
部分肉名
「S」
(kg未満)
「M」
(kg以上〜kg未満)
「L」
(kg以上)
かた 14.5 14.5~17.5 17.5
かたロース 10.5 10.5~14.0 14.0
かたばら 14.0 14.0~18.0 18.0
ヒレ 3.5 - 3.5
リブロース 5.0 5.0~7.5 7.5
サーロイン 8.0 8.0~10.5 10.5
うちもも 9.0 9.0~11.0 11.0
しんたま 7.5 7.5~9.0 9.0
らんいち 7.5 7.5~9.0 9.0
そともも 7.0 7.0~8.5 8.5

牛部分肉取引規格に基づく部分肉

牛部分肉取引規格に基づく部分肉

牛部分肉取引規格に基づく部分肉

牛部分肉規格証票

牛部分肉規格証票

牛部分肉規格証票

認定看板および認定証

認定看板

認定証